水撃作用(ウォータハンマー)について
水撃作用(ウォータハンマー)とは
管内を流体(水)が流れるとき、弁等によって流れを急に止めると、水の運動エネルギーは圧力に変わり、管内に急激な圧力上昇を起こし、場合によっては水槌音が発生することがあります。
この現象を水撃作用といい、ウォータハンマーともいいます。
圧力上昇の度合(hmax)は、圧力波の伝播速度や管内流速、管の材質等に関係し、一般にジューコフスキーの式として次の式で求められます。
【ジューコフスキーの式】
α:圧力波の伝播速度 (m/s)
V0:水の当初の管内流速 (m/s)
g:重力の加速度 (m/s2)
r:水の比重量 (kgf/m3)
K:水の体積弾性係数 (kgf/m2)
E:管材料のヤング率 (kgf/m2)
D:管の内径 (m)
S:管壁の厚さ (m)
かなり難しい式が並びましたが、これは何がどう作用しているかがわかります。
この係数・変数には、変えられるものと、変えられないものがあります。
この式のなかで何を変えたら、hmaxが小さくなるのかを教えてくれています。
【変えられる変数】
(a) V0:当初の管内流速 (m/s)
(b) E:管材料のヤング率 (kgf/m2)
(c) D:管の内径 (m)
(d) S:管壁の厚さ (m)
以上が変えられる変数です。
これらを変えることによって α 圧力波の伝播速度を下げれば圧力上昇の度合(hmax)は小さくできます。
E のヤング率とは、弾性係数のことで管に引張り・圧縮によって起こる伸び縮み率のことです。
上記のことからウォータハンマーを押さえるには、(管内の流速を遅くするか)・(あまり
伸び縮みしない管材を使用するか)・(管の内径を大きくするか)・(管の肉厚を薄くするか)
ですが今言った物のなかに管があまり伸び縮みしなくて肉厚が薄いという管材料は通常使用している配管材料のなかには無いので、あまり伸び縮みしない材料ということになります。
【水撃作用(ウォータハンマー)の対処方法】
(1)
弁とエアチャンバとの間の管径を大きくして流速を遅くします。
また、同時に管の内径を大きくすることによって圧力波の伝播速度は小さくなり、水撃作用が小さくなりウォーターハンマーがなくなります。
※エアチャンバの取付位置は出来る限り弁の近くにしてください。
(2)
ウォータハンマーは、弁が閉まることはよってぶつかった流体が戻ってくることが原因で起こります。
ということは、ぶつかった流体(水)を戻ろうとする根本で閉じこめてしまえばいいのです。これがウォータハンマーチャッキ弁を使用する理由なのですが、だだチャッキ弁が重たいので、ぶらぶらしないように固定しなければならないことが少し大変なところです。
(3)
チャタリング(ボールタップが上下に振動すること。)によるウォーターハンマーを止めるには、水の吐水口とボールタップの間に防波管を取り付けると収まります。
クリックでポチッ!と投票をお願いします。
にほんブログ村
人気ブログランキングへ
水撃作用(ウォータハンマー)について関連エントリー
- 直結給水方式
- 水道を直接敷地内へ引き込み、そのまま水道配水管の持っている圧力を利用して各所に給水する方式です。
- 増圧直結給水方式
- 直結給水方式の利点を活かし、欠点である圧力不足を補う事のできる給水方式です。
- ポンプ直送給水(圧力給水ポンプ)方式
- 敷地内、もしくは建物内へ受水槽を設置しポンプにて加圧給水する方式です。
- 重力給水方式
- 地上もしくは地階へ設置された受水槽より建物最上部へ設置した高架水槽へと揚水ポンプにて水を押し上げ、その高架水槽から重力で給水する方式です。
- 給水負荷の算出
- 給水設備設計の要点は、給水方式の決定と給水負荷の把握になります。
- 建物種類別単位給水量・使用時間・使用人員表
- 日最大使用水量を求める際に必要な建物種類別単位給水量・使用時間・使用人員表になります。
- 日最大使用水量・時間平均使用水量の算出
- 日最大使用水量・時間平均使用水量の算出は建物利用人数及び使用時間により算出されます。
- 受水槽・高架水槽の概算容量の求め方
- 水槽上部の空き容量が必要だし下部も底まで使用出来ないのでその辺を十分考慮して外径寸法を決定する必要があります。
- 給水管径の算定
- 給水管径の算定方法には、次の流量から管径の求める方法と管均等表による方法の二通りがあります。
- 損失水頭計算方法
- @ ウェストン公式による方法。 A ヘーゼン・ウィリアムス公式による方法。
- pH計
- pH計とは水溶液の酸性アルカリ性の程度を測る計器です。
- pHとは
- pHとは、水素イオン指数(potential Hydrogen)のことをいいます。
- ウォーターハンマーの生じる箇所
- ウォーターハンマーが生じると、配管や器具類を振動させたり、騒音を生じたり、配管の破損および漏水の原因となります。
- 計画使用水量
- 計画使用水量とは、給水装置工事の対象となる給水装置に給水される水量をいい、給水管の口径、貯水槽容量の計画をする際の基礎となるものです。
- 配管とポンプの関係
- 配管とポンプ圧力には反比例の関係があり、配管サイズを大きくするとポンプ圧力を小さくする事ができ、逆に配管サイズを小さくするとポンプ圧力が大きくなります。
- 給水量の求め方
- 一定規模以上の給水器具を有する事務所ビルなどの場合