設計用最大熱負荷計算法
空気調和・衛生工学会では、平成元年に「設計用最大熱負荷計算法」を発表していますが、同計算法は、その「序文」にも記述している如く、定常計算の手法であり、また、その本文中「1.概要,1.1背景」に記述している如く、「設計の初期の段階に、略算でよいから手早く結果を得るため・・・」に開発された計算法であり、更に、同文中に「より忠実に、手計算で最大負荷計算を行うには、例えば、手計算による最大負荷計算法を用いて非定常計算を行うこともできる。この中では間欠運転による蓄熱負荷や、日射や照明器具等からの輻射熱成分に起因した室内放熱流の遅れなども考慮してあり、・・・」と記述しています。
改めて「手計算による最大負荷計算法」と「設計用最大熱負荷計算法」の相違を比較すれば、前者は Respones Factors 法を用いた、非定常の計算法であり、後者は旧来の手計算法(空気調和ハンドブック等)と同等の、定常計算による計算法であり、計算法の合理性及び計算精度は、以前に発表された「前者」の方が、最近発表された「後者」より、数段グレイドが高いといえます。
設計用最大熱負荷計算法の特徴
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伝熱負荷の計算に於いては、壁の種類を、4タイプとし、各タイプ別の実効温度差表を用意し、これによって伝熱負荷を算出することとしているが、壁タイプの分類に、明確なる選定法(根拠)がなく、また、壁type別の、Respones_Factors(実効温度差用応答係数)も明示されていないので、新たな地区の実効温度差を算出することが出来ない。
A
日射負荷の計算に於いては、窓ガラスを透過する日射負荷は、全て即時負荷として計算することとしているが、日射負荷の time_lag については、以前から問題とされいる。
B
間欠運転時の蓄熱負荷の計算に於いては、地区別(全国14地区)の方位蓄熱負荷を提示して、これを用いて蓄熱負荷を算出することとしているが、その算出根拠は不明であり、Carrier社の、Strage_Load_ Factor(根拠不明と云われている)に似ている。
また、装置運転時間(時間帯)による差異については、まったく言及されていない。尚、この計算法を根拠としている、建設省の設計基準では、蓄熱負荷については、単に10%の付加係数を乗ずることとしているが、これについても、その根拠は不明である。
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